首都直下地震減災に挑む(上)首都圏の地下で何が首都直下地震減災に挑む(中)IoT駆使 被害つかめ避難いらずの建物へ防災科学技術研究所の兵庫耐震工学研究センター(兵庫県三木市)で、首都直下地震をにらんだ新たな研究の用意が進む。2018年にも大型震動台「E―ディフェンス」を使い、地震の揺れに強い建物の設計を探る。調べるのは「非構造部材」と呼ばれる部分の耐震性能だ。
画像建物を支える柱やはり、床などを構造体と呼ぶのに対し、非構造部材は天井材や外装材、ドアなどのことを指す。従来、建物の耐震性能を高める際は、まず前者の柱やはりなどを中心に強化するのが一般的だった。
E―ディフェンスの実験では実物大のビルなどの建物を震動台の上に置き、人工的に地震の揺れを起こして、天井材や外装材など非構造部材の耐震性などを検証する。
センサーを活用してデータを集め、天井の崩落などによる被害の推定や抑制に役立てる。梶原浩一センター長は「揺れと損傷の関係などを科学的に実証したい」と意気込む。政府は避難所の安全性判断などに生かす考えだ。
非構造部材の重要性が増したのは近年の地震被害の教訓からだ。11年の東日本大震災では、学校の体育館などを含めて天井材が崩落する事例が多発。死傷者も出た。建物が倒壊しなくても、こうした被害を無視できないとの認識が広がった。
16年の熊本地震の犠牲者は200人を超えたが、そのうち建物の下敷きになるなどして亡くなった人は50人。大半は避難生活で体調を崩すなどして命を落とす「災害関連死」だ。
高齢者にとって、震災後に自宅を利用できなくなる影響は大きい。かつては建物の倒壊による死を防ぐことが最優先だったが、それで十分とはいえない。
工学院大学の久田嘉章教授は「いま求められているのは『避難の必要のない建物』だ」と指摘する。建物を継続して使えるようにする発想が重要という。
特に首都圏は人口が密集しており、地震の後、建物が続けて使えないと避難者が増えて大きな混乱につながりかねない。手薄な非構造部材の対策強化は欠かせない。
首都圏では高層ビルの対策も重要だ。全国の超高層建築の6、7割が集まるといわれる。所有する企業は、30年内の発生確率が70%と見込まれるマグニチュード(M)7級の首都直下地震だけでなく、南海トラフの巨大地震なども見据えた対策を進めている。
一般的なのは、油圧などで揺れを抑える
「ダンパー」の設置だ。首都直下地震では、長くゆっくりとした「長周期地震動」は起こりにくいと考えられている。激しい揺れに耐える対策としてもダンパーは有効だ。
大成建設は本社のある新宿センタービル(東京・新宿、高さ223メートル)の中層にダンパーを288基設置済みだ。国内有数の超高層ビル街である新宿には、1970年代にできた比較的古い建物が多く、損保ジャパン日本興亜の本社ビルなどでも同様の備えが進んだ。そうしたビルは、首都直下地震でも深刻な被害を避けられるとの見方は多い。
ただ、首都圏を見渡せば対策を十分に取っていない古いビルも相当数あるといわれる。東京工業大学の和田章名誉教授は
「倒壊を免れても一部の損傷で建て替えなどが必要になる恐れはある。事前の備えを徹底すべきだ」と訴える。
以上 日本経済新聞2017年7月10日号より
震度7が起きると、90%以上の列車が脱線するだろう
火災旋風が起きるだろうこと
帰宅困難者に起きうること
油が貯蔵されている沿岸部に海上火災が起きうること
ガス・水道・電気などのインフラの復旧に時間がかかるだろうこと
避難所の不足が起きるだろうこと
南海トラフが起きると、東京湾にも津波がくるであろうこと
思いつくまま記してみましたが、もっともっと最悪の事態を想定しておかなければならないだろうし、個人レベルの防災は必須になりますね。
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