2017年04月12日

20世紀最大の被害をもたらしたピナツボ火山噴火







20世紀中に最大の被害をおよぼした火山噴火は、1991年のフィリピン・ピナツボ火山でした。


「国際災害データベース」によれば、死者数640人、影響人数104万人、推定損失額2億100万ドル(約284億円)という未曽有の規模でした。この噴火は、フィリピンの政府支出に約2%もの経済損失を生じさせました。


ピナツボ火山は1990年までは火山活動が活発ではなく、過去600年間休止状態にあったようです。

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最初の異変が起きたのは、主噴火の約11カ月前の1990年7月16日。この日、ピナツボ火山の北東約100キロメートルを震源とするM7.8のルソン島部地震が発生しました。


このルソン島中央部で起きた地震は、1906年のサンフランシスコ地震に匹敵するものとされています。


この直後、ピナツボ火山で土砂崩れや地震が発生し、一時的に噴気が活発化しました。アメリカ地質研究所の資料によると、「(ルソン島北部地震が)ピナツボ火山の真下の地殻を揺らし、圧縮した」と書かれています。


さらに1991年3月、ピナツボ火山周辺で小規模な地震が群発するようになり、4月には山頂近くの北西斜面で水蒸気爆発が起こりました。6月初めまでの地震発生回数は数千回に上り、二酸化硫黄ガスが大量に放出されました。


そして起こったのが噴火。
6月初め、傾斜計が火山の膨張を示し始めました。火口の下にあるマグマの増大が原因であることが考えられました。


同時に、以前は山頂から北西約5kmの地下数kmに集中していた震源が、山頂直下の浅部に移動したことがわかりました。


6月7日、最初のマグマ性噴火で山頂に溶岩ドームが形成、5日間で成長し、直径が最大約200m、高さが最大40mにもなるものでした。


その後、6月12日3時41分の小規模な爆発から始まり、15日まで4つの大噴火で、火山砕石物が火山南西の広範囲に降り積もりました。4回目の大噴火が治まってから2時間後、さらに噴火が始まり24時間連続しました。


ゴルフボール大の軽石が降り注ぎ、クラーク空軍基地のすべての地震計は振り切られていました。また強烈な空振が記録されています。


折しもこの時期に到来した台風により被害がさらに大きくなりました。火山75キロメートル地点を通過した台風5号(YUNYA)による暴風とともに火山灰を高度34キロメートルまで噴き上げました。


降雨により、より重さを増した火山灰は、家屋や避難所を破壊させて被害を拡大することになりました。噴火直後には、死者300人ほどでしたが、その死因は重みを増した降灰により、家屋や避難所の屋根が倒壊したための圧死によるものです。


その後も降雨は続き、避難所で避難していた数百人が衛生状態の悪化で、亡くなっています。


これだけの規模でありながら、被害が少なかったのは、予測に成功していたからだと高い評価があります。


しかし、その後も噴火は断続的に続き、9月までの噴火回数は200回を超えていました。フィリピン出身の防災工学者のロランド・オレンセ氏(ニュージーランド・オークランド大学教授)らの論文によると、被害を次のように示しています。


「火山周囲の4000平方キロメートル一帯に推定60億立方メートルの火砕物と火山灰が噴出し、火山を源流とする8河川を覆った。降下火砕物の厚さはサンカンの谷では数センチメートル、渓谷では100〜200センチメートルに達した。


降灰の厚さは火山から40〜50キロメートルの地点では数センチメートル、火山近くでは50センチメートルに及んだ。火山から30キロメートル圏内の約6万人の避難に成功したため火砕流による犠牲者が多くならずに済んだ。

だがそれでも噴火による最大800人が死亡し、10万人が家屋を喪失した。さらに大気に放出された数百万トンの二酸化硫黄は、その後の数年にわたって世界中で低温をもたらすことになった」



噴火の沈静後も、毎年のように雨季になると火山泥流が発生して数千人が避難しています。また、地域の農業は、噴火の影響で大打撃を受け、数百km2もの耕地が不毛と化し、数千人に及ぶ農民の生活基盤が破壊されました。

この地域には、米比相互防衛条約に基づく大きな米軍基地が2つ存在していましたが、火山の南西75kmのスービック海軍基地と、東40kmのクラーク空軍基地の2つの基地が噴火により大きな被害を受け、そのまま放棄されています。


(クラーク空軍基地はその年11月にフィリピン政府に返還され、1993年に空港、ホテル、ゴルフ場、カジノ、免税店、国際会議場などに転換されています。またスービック海軍基地は、自由貿易港をはじめ、スービック・ベイ国際空港、ホテル、ゴルフ場、ショッピングセンター、免税店、病院などに転換されいずれも経済特別区と指定されています)


1991年の噴火はその大きさと激しさにおいて20世紀最大級でしたが、地質学者が発見した過去の噴火に比べると小規模なもののようです。

以上今日も読んでいただきありがとうございました








富士山の噴火は始まっている!から引用・抜粋しました
posted by キキ at 23:00 | 富士山噴火 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月06日

ピナツボ火山が残した教訓








ピナツボ火山の噴火から私たちが教訓とすべきことは多いでしょう。


1点目は、600年にもわたり噴火しなかった火山が20世紀最大級の大噴火をして、甚大な被害をもたらしたこと。


2点目は、600年の休止が終わり、顕著な活動が始まってからわずか3ヶ月ほど主噴火に至ったこと。


3点目は、噴火と同時に台風が発生したことで降下火砕物が濡れて重量が増し、多くの建物を倒壊させたこと。また、衛生状態が悪化して犠牲者のおもな死因になったことも忘れてはいけないでしょう。


4点目は、危機管理に慣れているはずのアメリカ軍でさえ、被害想定を甘く見積もり、火砕流が発生したあとにならないと非難を始めないなど対応が遅れたこと。


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この一連の教訓を、富士山に当てはめてみると


富士山は過去300年間、一度も噴火していません。
富士山周辺では東日本大震災後、明らかに地震が活発化していますが、気象庁は「現時点では噴火の危険性はない」としています。


政府の被害想定はおもに300年前の最後の噴火を参考にしたもので、より規模が大きいそれ以前の噴火は「記録が少ない」などとして検討対象から外されています。


また、地震、台風や重大感染症などとの複合災害はまったく想定されていません。


東日本大震災のあと、政治家や官僚の口から「想定外」という言葉が幾度も出ました。地震、津波に原発事故が合わさった場合、災害は想定されていないに等しかったのです。


また、政治家は危険が迫っても「いたずらに不安をあおってはならない」「もし最悪の事態が起きなければ対応がおおげさだったと非難される」との不安に駆られ、情報を隠したり発表の決断が遅れることもたびたびありました。


テレビやラジオだけの情報に頼っているとこのような事態に、逃げるタイミングを逃す人が大勢いることでしょう。


ピナツボ火山が噴火してから20年以上が経ち、その教訓を日本人が真剣に捉えたとは到底考えられないのです。







富士山の噴火は始まっている!から引用・抜粋しました
posted by キキ at 00:00 | 富士山噴火 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月04日

富士山のマグマは「噴火待ち状態」








活動期・休止期・活動期・休止期



富士山噴火に貞観型と宝永型という形態がかなり異なる2つのタイプがあることには理由があります。


富士山では、噴火が数百年の間に頻繁に続く「活動期」と、噴火が数百年にわたって起きない「休止期」が繰り返されてきました。有史以後を振り返ると、活動期は奈良時代から平安後期の約300年続いてきました。



その間に起きた貞観噴火は溶岩型でした。富士山の地下でマグマだまりが圧迫されるプレートの動きがあり、マグマが上昇して噴火したのです。そこで、比重が高くて重いマグマが溶岩として流出しました。



1083年の永保噴火が終わった時点で、マグマだまりのマグマはカラに近い状態になったと思われます。マグマだまりに再びマグマが満ちるのに時間がかかり、休止期に入ります。



次に富士山が噴火したのは、352年後の1435年、永享噴火です。これから270年続く活動期では、火山灰が多く噴出した宝永噴火が起きました。軽いガス成分が先にたまったため、ガス成分が多い噴火が続いたものとして考えられます。



1707年の宝永噴火から305年間、富士山は噴火していません。再び休止期に入ったのです。宝永噴火によりマグマだまりのガス成分は再びカラに近い状態になり、中身が満ちるのに時間がかかっているはずです。



そう考えれば、次は溶岩が多く流出する貞観型噴火のほうが可能性は高いのではないだろうか。活動期が終わってからの最初の休止期、活動期、2度目の休止期を経て、ずっとたまっていたマグマがいよいよ満ちてきて噴火するのを待っている。これが富士山の現状と考えられます。


ではその可能性が高いと思われる貞観型噴火とはどのような噴火でしょうか。

次の記事へ続く







富士山の噴火は始まっている!から引用・抜粋しました
posted by キキ at 00:59 | 富士山噴火 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする