2017年07月03日

首都直下地震 減災に挑む(中)IoT駆使 被害つかめ







アイデア先行 浸透課題

東京急行電鉄大井町線の戸越公園駅の南に広がる東京都品川区豊町5丁目。狭い道路に古い木造住宅が密集する。


都の調査で首都直下など大地震が発生時の火災危険度が最悪の「5」と評価された。倒壊した家屋で消防車の行く手が阻まれやすいからだ。


この火災に弱い地域で、あらゆるものをインターネットにつなぐIoTを使って被害を抑える試みが始まった。


分電盤大手の日東工業(愛知県長久手市)が東京大学地震研究所や防災科学技術研究所などの研究者と組む。古い木造住宅に地震を感知すると自動的に電気を止める「感震ブレーカー」を設置。このブレーカーには地震計やセンサーが備わっており、地震発生時の家屋の揺れを記録するほか、壁の傾きなどから損傷状況を推測できる。こうした情報を無線でクラウド上のサーバーに送る。
 


プロジェクトは1年ほどかけて実施する。豊町5丁目のほか首都圏の約100軒の住宅が協力する。電気が復旧した際に配線から火花が出て住宅が燃えるのを防ぐだけでなく、被害の状況を把握して自治体などに知らせる。
 

将来は重点的な人命救助活動や効率的な避難所の開設などに生かしてもらう計画だ。日東工業の鈴木宏新規開発部長は「首都直下地震に備えた強い防災体制をつくることができるのではないか」と期待を込める。
 

政府は首都直下地震が発生すると、木造家屋が密集する地域を中心に約41万棟が焼失すると推定している。死者の7割が火災によるという。火災からどう身を守り、住民の避難や救助活動を展開するかは大きな課題だ。感震ブレーカーの設置に熱心な自治体は増えており、普及すれば被災状況を把握するインフラとして役立つ。
 

「災害が発生したときに必要なのは避難する人や交通の流れをつかむことだ」。理化学研究所の人工知能(AI)の研究拠点である革新知能統合研究センターの上田修功副センター長はこう指摘する。
 

東日本大震災では、首都圏でも広い範囲で電車やバスが止まり、歩いて帰宅する人たちでごった返した。首都直下地震では火災によるパニックが発生し、人が折り重なって倒れる事故などが起こり、大混乱になる可能性が高い。
 


上田副センター長は大地震が発生した際の人の流れを予測して防災に生かす研究を進める。混雑を緩和するためにNTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発したAIを活用する。
 

イベントなどで大観衆が移動するデータを集め、渋滞やトラブルが起こるパターンを学習。さらに防犯カメラなどリアルタイムの情報を組み合わせて群衆の動きを予測し、混乱を最小限に抑える手立てを考える。「AIで人間が気づかないパターンを見つけられるのではないか」と話す。
 

こうした先端技術を首都直下地震対策に生かす取り組みは始まったばかり。「アイデアが先行して自治体や人々が追いついていない」と、都市防災が専門の東大生産技術研究所の加藤孝明准教授は分析する。
 

首都直下地震は発生する場所やメカニズムが複雑で発生パターンも多い。今世紀中に複数回起きても不思議ではない。住宅の耐震化や初期消火訓練などで地域の防災力を高めるとともに、地域住民の理解を得る努力にも取り組んで新技術を根づかせる必要がある。
日本経済新聞2017年7月3日号



首都直下地震、東南海トラフ、中央構造線…
九州、沖縄、長野、北海道・・・・。日本中で揺れまくっています。地震が発生して、一番に被害を受けるのがこうした古い木造家屋でしょう。大阪市内で思いつく場所は、福島区海老江・野田・玉川、東成区、天王寺区、生野区の川沿い、阿倍野区、城東区など古い木造住宅が密集し、近くに公園や広いスペースなどがないという地域がたくさんあります。日頃から避難できるようにイメージしておかなくては、ですね。








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posted by キキ at 00:00 | 地震と火山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする