2016年04月04日

1日129人が死亡〜アメリカ薬物汚染の衝撃







アメリカが抱える社会問題のひとつ、「薬物問題」。
近年、新たな事情により更に深刻の度合いを増しています。



1日129人が薬物過剰摂取で亡くなっている




日本でもつい最近元プロ野球選手の薬物疑惑により、警察の周到な身辺捜査が行われ逮捕されました。また一般人の覚醒剤使用が広がっているようで、一説によると、国民の「40人に1人くらいの割合」で覚せい剤を使用しているということらしいです。




アメリカABCの調査によると、薬物の過剰摂取による死者の数は、交通事故死や銃による死者を上回っているという。その増加の背景にあるのが、処方薬である鎮痛剤の過剰な処方と、その代用として使われるヘロインへの依存です。




特に深刻さが目立っているのが、北東部のニューハンプシャー州。死亡者は2012年よりこの3年で3倍に膨れ上がっているようです。それに人口130万人のうち10万人が中毒治療を必要としており、2月に行われた大統領選挙に向けた候補者選びの予備選挙でも争点となりました。




薬物中毒に苦しむニューハンプシャー州の若い男性に密着したアメリカABCのリポート。







アーロン・スミスさん22歳、結婚し愛する息子がいます。
リュックから取り出したヘロイン注射器を示し、「1年ほど前からヘロインをやり始めた」と中毒症状になっています。どんどん使用する量が増えているという。毎朝起きてからすぐヘロインを使っているといいます。




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最初は、処方薬の鎮痛剤を使っていたという彼は、「鎮痛薬として普通の使い方だった」のですが…。




ヘロインを使う5人に1人は、処方薬の鎮痛剤から
始めます。
彼もこうして、どんどん中毒者になっていきました。



両親の願いは息子の完治です。
父親は、「ヘロイン中毒になる前は、アーロンはとても素晴らしい息子でした。そのころの息子がとみに懐かしいです」。



アーロンにも事の重大さはわかっていました。「更生出来なければ家族を失ってしまう…」。彼は助けを求め続けました。しかし、どの施設も空きが出るまで数週間かかると言われました。ニューハンプシャー州の施設の収容能力は、特に悪いのです。




取材時に電話があり、やっと空きの知らせがありました。
「やっと受け入れてくれる施設が見つかりとてもうれしい。この悪い状況をやっと抜け出せる」と涙ぐみました。また、しかし施設に入るまでに、自分との葛藤があります。



「治療を受ける前にこれを捨てるつもりでいます」とヘロインの注射器を見せます。その他の器具も捨てるためにまとめます。



しかし、
「捨てることがこんなに辛いなんて…。更生したいけどまた逆戻りしそうで怖い」

と話します。



ヘロインに蝕まれた彼の体を中毒症状が襲います。中毒症状は、頭がガンガンする、ハンマーで殴られたかのようにガンガンする…。彼の顔は冴えず、表情も暗い。落ち着きなく足を揺すります。



ほどなく彼は電話をかけ始めます。「20か40必要かも。打たないとわからない」…。電話の後、車に乗ってヘロインを受け取ってきます。





「使えばあっという間に気分は良くなる。禁断症状で何もできなくなるけど、使えばすぐに普通に戻れる。最低だよ…でも薬が必要なんだ、わかるだろ?」




この後ヘロインを使い、しかしあと2日で施設に行くというのに、自己嫌悪で泣き始めるアーロンさん。



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施設に入るまで24時間、アーロンさんの両親が住む家で、自分の息子の写真を見せていました。
その間にも電話が鳴り、治療を受けるまでの最後のヘロインだと彼は言い、チャイナホワイトというヘロイン(日本でも出回っている)をスプーンの上で熱します。



原料の鎮痛剤は、病院で使われる薬で、効力は通常のヘロインの50倍




「これでぼくの人生は台無しになった」

「こんなことで興奮するなんて狂ってるよ」…。




※2013年3月から、アメリカのロードアイランド州で合成麻薬である「アセチルフェンタニル」を注射して14名の死者がでた。19〜57歳でうち10 名が男性であった。



ほとんどの症例がコカイン、ヘロイン、エタノールなどを飲み、通称「チャイナホワイト」とも呼ばれるこの合成麻薬を注射して突然死した。リンク




それでも彼は、「必ず更生する」と言います。ぼくには息子が必要だから、息子のために更生すると。翌日は妻の実家にやってきて、息子とひと時を過ごすためです。息子とはリハビリで1ヵ月会えなくなるから。



しかしここでも、アーロンさんは、「ここに風邪薬ある?」と洗面所にこもります。何のためかみんな知っています。「ドアを開けないでくれ」と大声を出すアーロンさんの声に、息子は泣きじゃくります。



翌日施設からの迎えの車が来たとき、彼の荷物には、更生プログラムの本、妻あての便せんなどしか入っていませんでした。たった1年で薬によって奪われた彼の人生・・・・。



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リハビリ施設




こうして更生施設に入所した彼ですが、28日プログラムの3日しか続けられませんでした。他のリハビリ施設と同じように、ここでもヘロインを絶つための補助薬は支給されませんでした。



さまざまな薬物のなかでも、治療が困難だといわれるのがヘロインです。強い身体依存性があり、ヘロインの摂取を中断したり摂取量を減らすと、極度の禁断症状に苦しむため、依存者はなかなかヘロインを絶つことができません。



この禁断症状をコントロールしながらヘロイン摂取から離れさせる治療法として、代表的なものが、メタドン置き換え療法で、身体に対してヘロインと似た作用を持ちながら、ヘロインより害の少ないメタドンを経口摂取しながら、徐々に摂取量を減らしていく方法です。



しかし、ヘロインに親しんできた依存者のなかには、特有の多幸感が得られないメタドンでは我慢できず、結局治療から脱落してしまう例もあります。



治療活動家は、治療には絶対必要だと言います。
8日後、アーロンさんはヘロインの過剰摂取で亡くなりました。



1日129人が違法薬物により死亡している…。



ニューハンプシャー州、マンチェスター州で過去最高になろうとしているヘロインの死亡者数。
麻薬取締局担当者に「抜け出せますか?」とあえて尋ねる。しかし、「難しい」と言う。



「これは医療、公衆衛生、司法の問題です。今すぐにでも協力が必要で、今すぐにでも起こり得る問題である」と答えました。



背景に、処方箋薬として鎮痛剤が、ヘロインを使い始めるきっかけがあります。10年ほど前から大量にオピオイド系鎮痛剤などが出回るようになりました。しかし規制により、手に入らなくなった結果、似たような効果があるヘロインが大量に求められるようになりました。



ニューハンプシャー州やメイン州は、所得制限があり、ヘロインが高く売ることができます。裕福なイメージがあるのにもかかわらず…。



だから、密売人にとってはよい市場というわけでしょうか。ルートはメキシコからニューヨークを経て、ニューハンプシャー州に流れてくるようです。



アメリカでは一般人でもヘロインの入手は容易で、電話一本で取材のアーロンさんのように調達できるそうです。30分あれば手に入る、と言われています。1回あたりの価格は5ドル程度で、若者が容易にヘロインを手に入れることができてしまいます。



これについての罰則はどうなのでしょうか。
実は、吸引や注射などをしていても、チケットを切られるだけ、IDは問い合わせられない、という緩さで目撃されていても逮捕されるわけではないようです。



こうしたことが日本と違っているのは、犯罪者というより、「社会の犠牲者」だと捉えている面があるようです。



オバマ大統領が対策として、


1、 効果的な治療法へのアクセス拡大

2、 麻薬拮抗剤の購入・提供への支援

3、 低所得・低年齢向け医療保険の適用



などを打ち出していますが、1日129人がヘロインで亡くなっていることは、銃で亡くなっている人より数が多いことを深刻に受け止めてはいます。




現在、大統領選挙予備選挙で、ドナルド・トランプ氏が勢いを増しています。彼はメキシコ国境に高い壁建設を当選後実施し、移民受け入れ制限を強化すると発表しています。




薬物問題と移民問題を止めようということのようですね。ただ、医療業界のロビー活動、医療機関の処方箋の問題もあり、そこまで規制をするのは困難ではないかともみられています。



『20世紀最高の投手の一人』との呼び声が高い江夏豊元プロ野球選手は、1993年3月、覚醒剤所持の現行犯で、覚せい剤取締法違反により逮捕されました。その折覚醒剤の所持量が多かったため、初犯ながら懲役2年4か月の実刑判決を受け静岡刑務所に服役しました。



1995年4月27日に仮釈放され、出所後は野球解説者・評論家に復帰しました。見事に更生されましたが、清原氏もこうしたら断ち切ることができるんじゃないでしょうか。







記事引用は⇒ABCニュース
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posted by キキ at 00:00 | 海外ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする