2015年04月05日

社会に影を落とす根強く残る“黒魔術”









パプアニューギニアでは豊かな自然の中で、800以上の部族が現代も文明社会とは一線を画した伝統的な生活を送っていて、古くからの風習も根強く残っています。


この国で今もなお、人々の間で信じられている“黒魔術”。今この黒魔術が国の発展の機会を阻害しかねない社会問題になっています。


『黒魔術』とはいったいどういうものなのか。


パプアニューギニアの伝統社会では、人の死や病気などは、誰かが『黒魔術』をかけた結果、引き起こされたものだと考えられてきました。


科学や医療などといった現代文明の恩恵を受けない伝統的な生活を長年続けてきたこの地域では、『死』や『病気』などが人々の生活の中により身近にあるため、文化人類学者などは、『不幸を受け入れるためのいわば方便として黒魔術を考え出し、定着させてきたのではないか』などと分析しています。


<死や病気は誰かが『黒魔術』をかけた結果引き起こされたもの>

パプアニューギニアには、長年、『黒魔術法』という法律がありました。聞いてびっくりなのですが、『黒魔術』を理由にした殺人は、刑が減軽されるというものです。


そう、国が『黒魔術』の存在を認めてきたのです。


しかし2年前、女性が『黒魔術』を使ったとして公衆の面前で火をつけられ、焼き殺されたという事件をきっかけに国際社会の非難の声が高まり、2013年廃止されました。


それでも『黒魔術』を使ったとして非難の的となる女性は後を絶たず、“魔女”の烙印を押され、殺害されたり暴行を受けるという事件が相次いでいます。


これは、全国で年間20件以上になります。


<これまで明らかになった黒魔術とは>

魔女狩りが頻繁に行われているのは、主にハイランド地方であるとされています。


昨年7月、マダン州ボギアに住む7人の住民が、大勢の村人に殺害される。この事件では警察は当初、この地で長い歴史を持つ、カーゴ・カルト信仰者の仕業ではないかとにらんだ。


カーゴ・カルトとは、先祖や神が飛行機などに乗りやってくるという招神信仰。呪物崇拝でもあるとされ、7人が儀式の生贄になったと推測されていました。


しかし、その後、被害者は魔女狩りをしていた集団により殺害されたことが判明。逮捕された29人のうち12人が殺害に関与し、全員が、被害者の人肉を食したことが明らかになっています。


殺人、人肉嗜食の罪で逮捕された彼らは、「スピリットに導かれ、魔女を見つけた。だから殺した」と証言したようです。魔女狩りをしていたグループのリーダーは、なんと村の議員でした。
 

ハイランド地方とは、パプアニューギニアの中央部、3000m級の高山が連なる山間に点在する小さな村々で、このような事件が多発しているとされている地域です。


1930年まで外部とのコンタクトがなく、村の結束はとても固い。魔女狩りは村人全員で行われているため、発覚しにくいともいわれています。


1カ月の間に、20人が魔女狩りにより殺されたという報告もあるのだが、村人たちが非協力的なため、警察は正確な数字を把握できないでいるということですが…。



さて、『黒魔術法』廃止のきっかけとなった事件から2年。状況はどう変わったのでしょうか。




20150302_08.jpg
カパリ・レニアータさん


オーストラリアABCニュースによる内容


この映像に、世界は衝撃を受けました。
2年前、ある女性が魔女であるという理由で拷問を受け死亡した事件が起きましたが、殺害した人物らは、いまだに処罰を受けていません。


20歳のカパリ・レニアータさんが、魔術を使って子供を殺した容疑で、マウントハーゲンのゴミ集積所で生きたまま焼かれました。


国連人権担当 アリシア・バランパタス氏
「レニアータさんへの拷問や彼女の死は世間の注目を大きく集め、彼女は同様の暴力事件の被害者を象徴する存在となりました。」

catemaco1.JPG

catemaco2.JPG



パプアニューギニアでは黒魔術が広く信じられ、医療や教育が遅れた地域で、病気による死亡の理由にされることが多くあります。


非難の標的は未婚女性や未亡人が多く、殺害方法は暴力的で、性的に過激なものとなり、公開処刑が増えています。


レニアータさんの殺害から2年。
誰も逮捕されず、裁判も行われていません。


カトリック司教会 ビクター・ローシュ神父
「警察や司法の人間は危機感がなく、迅速に問題を解決しようとせず、真剣になっていないと思います。」


魔術絡みの殺人事件はこれまでパプアニューギニアの高地で見られてきましたが、最近では、沿岸部や本島から遠く離れた自治州、ブーゲンビルでも確認されています。


ただ、明るい兆しも見えています。
今年2015年1月には、魔女だということを理由に殺されそうになった4人の女性が、警察と伝道師らによって救われました。


また、医療や迷信についての教育や女性擁護、被害者の法的支援などを盛り込んだ、国の行動計画の草案も作られました。


しかし、レニアータさん殺害のような事件で何より効果的なのは、裁判です。


長い年月の中で形づくられた風習は、そう簡単には変わらないものかもしれませんが、殺人や暴行といった犯罪行為は決して許されるものではありません。


国際社会の一員として発展していくためにも、パプアニューギニア政府には、黒魔術を口実にした犯罪の撲滅に向けて取り組みを強めてほしいと思います。


2013年に黒魔術の法律は廃止になりました。
廃止になっていた死刑も復活しました。






NHKキャッチより
【海外ニュースの最新記事】
posted by キキ at 11:40 | 海外ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする